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18 興奮するイタリア人とMOTO GP

LA DICIOTTESIMA PUNTATA  "GLI ITALIANI ENTUSIASTI E MOTO GP"

第18話 興奮するイタリア人とMOTO GP

10月17日日曜日、オーストラリアにてMOTO(モーターバイク)選手権のレースがあった。

F1とかMOTOのレースなんて、日本にいた時はまったく興味がなかった。
片山右京や中嶋悟、ジャン・アレジにアイルトン・セナの名前や
鈴鹿のことは知ってはいたけど、
試合を観たいだなんてちっとも思わなかったし、
世の中にそんなものがあってもなくても自分に影響するものではないと思っていた。
日本では野球やプロレス、相撲やサッカーに対して
はるかにマイナーなF1やMOTOなのに、
そこには世界のトップクラスで活躍する日本人選手がわんさかいると知ったのは、
イタリアに来てからだった。

イタリア人の友人の家で日曜日に家族と食事をしていると、
食卓のテレビは、シーズン中は必ずF1かMOTOのレースのチャンネルに合わされている。
友人のお父さんとお兄さん2人はにわかスポーツ評論家
日本でウチの父と弟が巨人の試合を見て
「ありゃダメだ」とか「この当たりはいい」とか言うのとまるっきり同じである。
レースはヨーロッパでやるならだいたい昼食の時間(13~15時)に生中継。
その他の地域で行われた場合でも、
録画が必ずこの時間帯に合わせて放映される。
必然的にわたしもスタートからフィニッシュまで見る。
シーズン中は毎週のようにレースが行われる。
選手の名前を覚える。用語も覚える。
そして優れた日本人選手が多くいるのに気付く。

時には彼らも表彰台に上がる。
2週間前だったかのMOTO GPのレースでは日本人が2人入って感動した。
昨年の初戦で壁に激突して亡くなったバイク・レーサーの加藤大治郎くん
彼が生きていれば玉田・中野と日本人3人で
世界のてっぺんに立つ、という偉業を成し得ていたかもしれない。
F1の佐藤琢磨にしてもそうだが、サッカーや野球なんかに負けないくらい
日本人が高いレベルで活躍しているのだ。
それがF1とMOTOなのである。

話を日曜日のMOTO世界選手権に戻そう。
オーストラリアのフィリップアイランドで行われたこの日のレースは、
日本人勢は表彰台には入らなかったものの、誰も棄権することなく
タマダ8位、ナカノ12位、アベ17位、アオキ19位という成績であった。
これはあくまでも世界選手権である。
日本人がこれだけ頑張っているということは誇っていいのではないだろうか。

首位争いはスタート時からスペインのセテ・ジベルナウ(HONDA)と
われらがイタリアのヴァレンティーノ・ロッシ(YAMAHA)とが
抜きつ抜かれつを繰り返す激しいものであった。
直線で最高時速が約300キロ
それがカーブでは約70キロにまで落ちる。
カーブで大きく曲がれば内側から抜かれる可能性もあるし、
かといってカーブの連続で内側を攻め続けることも不可能なわけで、
見ている方はハラハラである。
最後までドキドキしたこのレース、優勝したのはヴァレンティーノ・ロッシ
表彰式で流れたのはイタリア国歌であった。

さて、ロッシのゴール時のテレビ中継の実況が
めちゃくちゃ面白かったので特筆しようと思う。
「えっ?」と耳を疑うほど妙なことを口走っていた。
解説者ともに興奮度は古舘伊知郎の100倍くらいである。

Campione del mondo, campione del mondo, campione del mondo!
Ha vinto, ha vinto! Ce l'ha fatta!
Rossi c'è, Rossi c'è, Rossi c’è.
Che giro, che leggenda! La storia del motociclismo.
Incredibile, la magia, il dottore, Harry Potter,
primo del mondiale, primo del mondiale.
Non ci credeva nessuno. Si pensava fosse un asino. Trasformato in cavallo!
Gibernau è dietro. Bravo ma è dietro.
In una stagione straordinaria…

(世界チャンピオンです、世界チャンピオンです、世界チャンピオンです!
勝ちました、勝利!やりました!
ロッシです、ロッシです、ロッシがいます!
なんというレース、なんという伝説!また一つバイク界の新しい歴史が生まれました。
信じられません、魔法です、ドクターです、ハリーポッターです、
世界チャンピオンです、世界の頂点です。
信じられません。ロバが馬となって走ったとしか思えません!
ジベルナウ2位です。彼もよかった、しかし2位です。
素晴らしいシーズンです…)

スタート時から1位2位は激戦だったので
実況者が興奮状態というのも無理はなかったのだが、
「ハリーポッター」ってねえ、アンタ…。

興奮するイタリア人、すごい!
語彙が広く、よくこんなにも次から次へと口をついて出てくるものだと思う。
形容するのが上手いとでも言おうか。

今回は本当にいいレースであった上に実況にも笑わせてもらった。
いつか生で見てみたいMOTO GP。
実況を聴くためのラジオも持って行こう。

(2004年10月)

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